商品先物市場の社会的意義と投資家権利の保護

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商品先物市場の役割

商品先物市場で行われる商品先物取引は、さまざまな役割・経済的機能を果たすことで社会に貢献しています。それゆえ市場メカニズムを基本とする資本主義経済においては、必要不可欠な「産業インフラ」として位置づけられているのです。

以下に商品先物取引の役割・機能の一部を紹介します。

①公正な価格形成機能

商品先物市場では、個人投資家、商品の生産・加工・販売などに携わる事業者、機関投資家(ファンドやプロップハウスをはじめとする大手専業トレーダー)など多種多様な人々が取引に参加しています。そうした市場参加者はそれぞれが異なる目的や情報、価値観に基づいて取引を行います。また公設市場である商品先物市場を運営する商品取引所は、大量の取引が公正に行われるよう明確なルールを定めています。このため商品先物市場は透明で公正な価格形成の場として認知されているのです。

商品取引所は、商品先物市場で形成された価格をリアルタイムで世界に向けて発信しています。上場商品の生産・加工・販売などに携わる人々は、ビジネスプランを練ったり、現物や加工品の取引価格を協議したりする際に、この商品先物価格を指標として役立てています。

需給のバランス調整と価格調整機能

商品先物価格は生産者の生産意欲と消費者の消費意欲に影響します。例えば、ある商品の先物価格が高いときは、将来的に需要が多く、供給が少なくなるとの予測の表れです。そうなると、生産者は生産の増強を検討する一方で、消費側は購入を控えようとします。その結果、供給の増大と需要の縮小が生じ、それまでの需給関係はバランスする方向に向かい、高かった価格には下降圧力がかかります。反対に将来の価格が安いと判断されればこの逆の現象が起こります。これが商品先物価格の需給バランス調整と価格調整機能です。需給と価格のバランス調整には、価格の将来的な上昇・下落を予想して取引に参加する投資家の意見も反映されています。

価格の平準化作用

商品の現物価格は本来、地域によって格差があります。しかしその格差が商品先物価格と比較して適正とされる水準を超えると、割高な地域では需要を上まわる供給が生じて(売りが多く、買いが少なくなる)、価格に対する下げ圧力として作用します。また割安な地域では供給を上回る需要が生まれて(買いが多く、売りが少なくなる)、価格を押し上げようとします。この結果、地域間の価格格差は縮小に向かうのです。また商品先物市場では各限月においても割高な限月は売られ、割安な限月は買われるため、限月間の格差は適正と考えられる方向に収れんしようとします。地域的および時間的な価格差を解消しようとするこの動きを、価格の平準化作用と呼びます。

②リスクヘッジ機能

商品先物市場は事業者や生産者が価格変動からビジネスを守る保険の役割も担っています。例えばトウモロコシの輸入業者が1万トンのトウモロコシを米国で買いつけて日本に海上輸送する場合を考えます。到着までおよそ1カ月の間にトウモロコシ価格が1トンあたり5千円(1キロあたり5円)下がったら5千万円の損失です。そのリスクを回避するために、輸入業者は米国でのトウモロコシ買いつけと同時に、東京商品取引所でトウモロコシ先物を200枚(1万トン分)売ります。そうすれば仮にトウモロコシが値下がりしても、先物市場で同額の利益が得られるため輸入に伴う損失は相殺されるからです。逆にトウモロコシ価格が上昇した場合は、先物取引では損金が生じますが、輸入したトウモロコシが高く売れるため、この場合も損益が相殺されて輸入業者は当初の計画通りのビジネスプランを達成できます。

③受渡機能(商品の調達先や販路の確保)

商品先物市場では、買い手は商品を受け取ることが、また売り手は商品を渡すことができます(現金決済が義務づけられた商品を除く)。このため加工業者や流通業者は商品先物市場を現物商品の調達先として利用すること、また生産者は商品を渡すことによって販路の確保または換金の場として利用することができます。

④資産運用の場の提供

投資家は商品先物価格の変動を利用して、商品先物市場を資産運用市場として利用することができます。その際、投資家に必要な初期の投資資金は商品の総額ではなく、その3~5%程度にあたる証拠金です。このため商品先物取引は投資効率が高い投資方法と評されています。また商品先物取引では、取引の期限前ならば、売買価格の差額を受け払いすることで取引を終了できます。このシステムを差金決済と呼びますが、これにより将来的に価格がいまよりも下がると予想した場合には、「売り」から取引をスタートして、価格が予想通り下がった場合には、買戻しをして利益を得ることも可能です。

制作協力:ダイヤモンド社

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