有志以来、普遍的な価値絵を保ち分散効果も期待できる金(ゴールド)。

金(ゴールド)の祭典「ゴールドフェスティバル2018」が今年も開催される。6月30日の開催に先立ち、フリーアナウンサーの大橋ひろこ氏が、金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏、 貴金属ディーラーの池水雄一氏に、金投資の魅力や投資方法などについて聞いた。

  • ICBCスタンダードバンク東京支店長 池水 雄一氏
  • ICBCスタンダードバンク
    東京支店長
    池水 雄一氏
  • アナウンサー/個人投資家 大橋 ひろこ氏
  • アナウンサー/
    個人投資家
    大橋 ひろこ氏
  • マーケット ストラテジィ  インスティチュート 代表取締役 金融・貴金属アナリスト 亀井 幸一郎氏
  • マーケット ストラテジィ インスティチュート
    代表取締役
    金融・貴金属アナリスト
    亀井 幸一郎氏

金の価値は普遍的 無国籍通貨としての側面も

大橋 金(ゴールド)は株式や投資信託などと比べて投資対象という印象が薄く、値動きの激しい仮想通貨のような話題性もありません。
ただ、長期投資においては優位性のある分散先であることをもっと知っていただきたいですね
マーケット ストラテジィ インスティチュート代表取締役金融・貴金属アナリスト亀井 幸一郎氏
亀井 金はその普遍性が認められ、古代から約5000年もの間、通貨として使われてきました。1971年に金本位制が終了して以降、表向きは通貨としての役割を終えたものの、 直近の10年ほどは世界中の中央銀行が年間約400トンもの金を買っています。現在の基軸通貨である米ドルが10年後、20年後もいまと同等の存在であり続けられるかが疑問視されるなか、 改めて金の価値が見直されているのでしょう。
大橋 確かに、世界の基軸通貨は数十年前まではイギリスのポンドでしたし、中国などの新興国の台頭を見れば、米ドルも盤石とは言い切れません。
池水 金は有史以来その価値を保ってきたわけですから、将来的にも一定の価値を維持すると考えられ、これから資産運用を始める人にとっても手掛けやすい投資先と言えます。
亀井 商品の一つではなく、円やドル、ユーロなどと並ぶ通貨と考えると、金の存在意義がより深く理解できます。外貨預金をする感覚で金に交換すれば、 特定の国の通貨よりも普遍的な価値を持つ無国籍通貨に通貨分散できると考えられるわけです。

ETFの普及やアジアの中間層の需要が金価格の下値を支える

大橋 事実、金は長期的に価格が上昇し続けています。
池水 どんな資金が金市場に流入しているかを知ると、価格が上昇してきた理由がわかり、今後の見通しも立てやすくなります。 私は、2004年に登場した金のETF(上場投資信託)が市場を大きく変えたと考えています。 それ以前に金を売買していたのは、一部の限られた投資家だけでした。それがETFという形で証券市場に上場されて以降、 金は機関投資家やファンドの投資対象となり、かつて金市場に存在しなかった資金が流入するようになったのです。
亀井 2006年頃からアジア圏を中心とする新興国の成長が始まったことも、金価格の上昇につながりました。 特に中国やインドでは文化的に金を好む傾向が強く、生活が豊かになった億単位の個人が現物の金を買うようになりました。 今後、これらの資金の一部は仮想通貨など別の資産に流れる可能性もありますが、かつての貧困層が金を買うようになるといった裾野拡大は、まだ当分続くでしょう。
NY金価格の推移

まずは現物や積立で投資の知識や経験を積む

アナウンサー/個人投資家大橋 ひろこ氏
大橋 金に投資するには、現物から商品先物までさまざまアプローチがありますが、投資経験の浅い人は何から始めればよいですか。
池水 まず100グラムのインゴットなど、無理のない金額で現物を購入することをお勧めします。現物を持つと、株式や投資信託を保有するよりも投資をしている実感がわき、 新聞やニュースを見て経済の勉強をするモチベーションにもつながるのではないでしょうか。
亀井 何故、価格が上下するのだろうという疑問に始まり、ドル建てで価格が決まることを知れば、為替相場にも関心を持つようになります。 たとえば、ドル建ての金価格が長期的に上昇し続けてきたのに対して、円建ての金価格は1980年以降じりじりと下落した時期があります。 日本の経済が堅調で、円高の進行する速度が金価格の上昇する速度よりも早かったためです。 そう考えると、これからまた日本円が金よりも強い時代が来る可能性は低そうだ、といった予測もできるかもしれません。
池水 そうして得た知識は、結果的に株式や投資信託など、ほかの金融商品に投資する際にも役に立つはずです。
大橋 日本では、人口減少や年金問題などを受け、若い世代のなかにも将来に不安を感じる人が増えています。まだ余剰資金の少ない若い人はどうすればよいですか。
池水 ちょうど私の娘が社会人になったばかりなのですが、娘には、まず給料から天引きされるタイプの運用をベースにするべきだとアドバイスしました。その意味では純金積立も選択肢の一つですね。
亀井 私が証券会社に勤務していた若い頃、私の周りには堅実に貯蓄をするような人はあまりいませんでした(笑)。 それでも多くの人が財形貯蓄くらいはやっていて、それがあったことは非常に大きかったことを覚えています。
大橋 毎月一定額を購入する積立型の投資は、相場の一時的な下落などのリスクを分散できると言われています。若いうちから始めて長期間にわたって続けるほどメリットを多く享受できそうです。
池水 金価格はこれまでのところ長期的に上昇し続けているため、過去の実績では、積立を長くやっている人は大きなリターンを得ている計算になります。
大橋 先ほど機関投資家にETFが普及している話を伺いましたが、株式投資をしている個人がリスクヘッジをしたい場合などにETFを取り入れてもよさそうです。
ICBCスタンダードバンク東京支店長池水 雄一氏
池水 ETFは現物に投資するのと同じ経済効果が得られる一方で、現物を保有する際に必要となる盗難対策などの保管コストがかからないというメリットもあります。
亀井 ETFを毎月決まった日に機械的に買い付ければ、純金積立に近い投資もできます。自分で設定する手間はかかりますが、売買コストは割安です。
大橋 東京商品取引所(TOCOM)に上場されているゴールドスポットでも同様の取引ができますね。
池水 ゴールドスポットはFX(外国為替証拠金取引)と同様の証拠金取引ですが、レバレッジをかけなければリスクは現物とまったく同じです。 ETFやゴールドスポットを使って積立のような投資をするなら、価格が大きく動いたときに、一部を売ってみたり、通常より多く買ってみたりすると、 相場の値動きを追う力も身につけられます。
亀井 さまざまな商品や投資方法がありますが、その人の性格による向き不向きもあるので、まずは現物や積立のようなリスクの低い投資から始めて、ある程度経験を積むことが大切です。
※日経マネー8月号(2018年6月21日発売)掲載記事となります。